アメリカの教育制度

アメリカの大学に留学する際には、アメリカの教育制度についての理解が非常に重要です。アメリカの教育制度は、地域や州によって異なるカリキュラムが存在しますが、その全体像としては教育の多様性と柔軟性が特徴です。

多様性豊かなアメリカの教育制度ですが、アメリカでの大学・大学院留学を考える際にもさまざまな選択肢があります。

大学(Undergraduate School)の場合、4年制の大学(University/College)と2年制のコミュニティ・カレッジがあります。4年制の大学は、日本の大学と同様に4年間で学士号を取得することができます。コミュニティ・カレッジでは、多くの場合4年制大学に編入可能な単位を取得できるため、最初に2年間コミュニティ・カレッジに通い、その後3年生として4年制大学に編入するという進学方法を選ぶことができます。

大学院(Graduate School)の場合、学士過程よりもさらに専門的に学問を深める学術系プログラムでの修士課程や博士課程のほかに、特定の分野でのキャリアに向けた準備を行うプロフェッショナルスクール(Professional Schools)というプログラムがあります。基本的に修士課程は2年、博士課程は4年、また修士・博士一貫教育は5年間ですが、プロフェッショナル・スクールは分野によって学位取得に必要な期間が異なります。例えば、M.B.A.(経営学修士)は通常2年間、J.D.(法務博士)は通常3年間、LL.M(法務修士)は通常1年間、そしてM.D.(医学博士)は通常4年間の期間が必要です。アメリカでは、そのほかにもさまざまなプロフェッショナル・スクールがあり、より専門的な分野を学ぶことができます。

教育課程

アメリカの教育制度は日本と異なる点が少なくありません。海外留学を考える際には、その国の教育制度を理解することが重要です。

初等・中等教育

アメリカでは、初等教育と中等教育が義務教育の一環として合計12年間行われます。

一般的に、6歳で初等学校(Elementary School)に入学し、その後中等学校(Secondary School)に進学します。アメリカにおける中等教育は、中学校(Middle School)と高校(High School)の二つのプログラムを含んでいます。中等教育では、大学進学の準備のためのカリキュラムと職業訓練の両方が提供されます。

Academic Year

アメリカの学年度(Academic Year)は一般的に8月から9月に始まり、翌年の5月から6月まで続きます。多くの学校では1学年度を2学期(2 semesters)に分ける制度をとっています。また、一部の学校では3つの学期に分ける「Trimester」と呼ばれる制度を採用しているところもあります。

高等教育

大学(Undergraduate)

日本の大学と同じく、一般的に入学から卒業まで4年間大学に在籍します。

ほとんどの大学において、最初の2年間は、一般的に文学、科学、社会科学、芸術、歴史など、さまざまな分野の授業を取ります。これらは一般的に必修科目(Pre-requisite Courses)と呼ばれます。この期間は学生が特定の専門分野に焦点を当てる前に、さまざまな科目の一般的な知識や基盤を築くために設けられています。この最初の2年間をコミュニティー・カレッジで学修したのちに4年制大学に編入する学生も多くいます。

その後、学生は「主専攻(Major)」を選択します。ここでいう「Major」とは、学位取得のために専門的に学ぶ分野を指します。さらに、2つの専攻を同時に学ぶ「ダブルメジャー(Double Major)」や、「副専攻(Minor)」を選択することができる場合も多いです。主専攻の学位要件を満たすために、選択した分野の一定数の科目を履修する必要があります。主専攻を選択するのは、通常、大学入学後3年目の初めです。

アメリカの大学は専攻の選択に関して柔軟性があり、学生が自由に専攻を何度も変更できることが特徴です。そのため、大学の学部課程中に専攻を変更することはめずらしくありません。

大学院:修士課程(Graduate School: Master's Degree)

大学で学士号を取得した一部の卒業生は、さらに専門的に学問を深めたりキャリアを進展させるために、大学院に進学します。とくに、アメリカで図書館情報学、工学、行動保健学、教育などの分野で地位の高い役職につくには通常最低でも修士号が必須となります。

アメリカの大学院に進学するためには、GRE(Graduate Record Examination)を受験する必要があります。GREは、言語理解力、定量的推論、批判的思考(critical thinking)、および分析的論述能力など、特定の学問領域に関係しない、すべての学問で重要なスキルを測るテストです。

また、ロースクールやビジネススクール、メディカルスクールなどの一部のプログラムに関しては、LSAT(Law School Admission Test)やGMAT(Graduate Management Admission Test)、MCAT(Medical College Admission Test)など専門的な知識を問われるテストの受験が必須になります。

修士課程は通常1年から2年間かけて行われます。

修士課程の大部分は教室での学習に費やされ、修士課程の学生は「修士論文(Master's Thesis)」と呼ばれる長い研究論文を準備するか、「修士プロジェクト(Master's Project)」を完了する必要があります。

大学院:博士課程(Graduate School: Doctorate Degree)

多くの大学院は、修士号取得を博士課程取得の第一歩とみなしますが、大学院によっては修士号を取得していなくても博士課程を行うことができるところもあります。

博士課程の最初の2年間、ほとんどの学生は授業やセミナーを受けます。その後、少なくとも1年間は主に研究と学位論文の執筆に費やされます。この論文には、これまでに公表されていない見解、設計、または研究が含まれている必要があります。

おわりに

このように、アメリカの多様性に富んだ教育制度は、留学を検討する際に広大な選択肢を提供します。さまざまな学問分野や進路に合わせた選択肢があり、個々の学生が自分の目標に向けて最適な道を見出すことができます。